千年一日珈琲焙煎所
新宿から約70分。近くて遠い「つくば」で展示を行った。
ここ15年間に描いた絵の中から約100点をデータ化し、2009年夏に Norichika Kitamura "SCRAPS" at Baal Hanamiを行った。それは当初から単独の展示で終わらせるのではなく、色んな場所でアレンジを変えて展示と販売が可能なものとして作っていた。

2009年におこなった複数の展示がきっかけで、つくば在住のTさんから展示をしませんか？と誘われた。
その時のメールで、展示をするか否かはどこで決めるのか、と聞かれた。その時の返事は、「これからも絵を描き、ものを作って生活して行く上で、そこで今展示をやる意味があるのか？という事をもとに判断しています。

お店であれば、そこの場所や、空間に惹かれるという前提があり、もっといえばその人達と時間を割いてでも付き合えるかと自分に問うています。そこで何をやるかは、その空間が決める感じです。今までを振り返れば、結局は人との出会いで展示をやっている気がします。」

実際にお店に行く前に「千年一日珈琲焙煎所」をweb上で検索した。知的障害を持つ人に自立支援の場を提供する」という文が気になった。どんな所なのか見てみたくなり、2009年12/28初めてつくばへ行った。
店主・大坪さん、Tさん、イベント担当の植田君 の3人で何が出来るのか探る。
こうして僕にとって初めての土地・つくばで "SCRAPS" をやる事が決まる。

以下展示写真をはさみながら、展示を振り返ります。下のメインの壁面に B5サイズを 3x15+6=計 51点飾る。

その時点で3人しか知り合いのいないつくばでの展示なので、周辺の人にどう呼びかけるか、また東京の人につくばまでどうやって来てもらうか考える必要があった。
しおりのようなflyerを早めに作り、展示直前には情報量の多い A4 flyerに替え、僕のHPにつくば情報を掲載し、イベントも複数行う事にした。

5/16（日） 10:00am-13:00pm に開催。
代々木のデッサン会メンバー、漆原君と橋本君に手伝ってもらう。
僕ら以外は全員女性の計14名でデッサンスタート。店内だときついかなと思い、目の前の公園を見てみると。まさにちょうど良い広さの芝生。早速30秒移動して、花の咲く公園でのびのびと僕も初めての屋外デッサン！

その後、Le Pain Gris*Gris のパンと千年一日のコーヒーをテラスで飲みつつ、その流れのままトークショー。自己紹介的な事から、絵やイラストを描いて暮らす事についてなど、思いつくまましゃべる。

5/29（土）開催。
店主や植田君も聴きたいという事で、僕がイラストレーターになって初めての仕事でご一緒した ”TICA”に展示会場でLiveをしてもらう。背景にある絵が、その時CDのジャケットになった約10年前の原画。

展示期間中は週一でつくばに通う。
お店のお客さんからの口コミで来てくれた人や、東京の友人やデッサン会の人達が来てくれたりで、充実した5週間を過ごす。

他の展示物として、A3＋を4枚張り合わせたポスターを店内とトイレに計2枚貼る。
窓に鳥のステンシルをして、都内に比べて空間にゆとりがある広い店内にモビールを3つ配置。自由に見てもらえる scrap book は4冊展示。

お金を儲けるために展示をやっているわけではないが、もちろん趣味でやっているわけでもない。売れなくても良いという前提では、製作や活動を続けられない。モノを買ってもらう事は「北村の活動に１票」という事だと思っている。（無理して買ってという気持ちは全くない）

ギャラリー空間と違ったこういう場所での展示は、絵や作品を介して人とコミュニケーションを取りたい。という気持ちがベースとなっている。それは僕とお客さんだけでなく、お客さん同士や、お店の人とお客さん、という意味で。花や雑貨を飾るくらいの気持ちで、絵が飾られる世の中になったら良いと思う。

こういう展示をする際に自分の時間とお金を使う。どこからも金銭的な援助があるわけではないので、Tシャツや 絵の出力、zine などの物販をしてバランスを取る。およその予算をたて、それを達成する為にするべき事をする。今回は初めての街つくばであったが予想より良い数字だった。

最後になりましたが、会場に来て下さった皆さまありがとうございました。
千年一日の大坪さん、ととと企画さん、浅野さん 、植田君、おかげで充実した2010年5月を送る事が出来ました。お疲れさまでした。

"SCRAPS" at 〜という名前の展示は昔からやっているが、2009年の目黒、2010年つくばでやった展示は、できれば色んな街に巡回したいと思っています。そのまま移動するのではなく、その場所なりのアレンジをして展示をしたい。どこか良い場所があったら教えて下さい。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

11/17 2010 北村範史